2012年4月4日水曜日

脳梗塞後遺症の完治を目指して » 遥かなる完治への道程


既報のように今年2月現在、私は73歳となり脳梗塞発症後,、丸6年を経過した。今、私は過去の治療をレビューし、次の6ヵ年完治計画の行動計画 を策定したい。次の6年は最終年が齢79歳となる。過去6年の間、私が居住するアメリカでの施療の情報を集め分析し、様々な後遺症治療を試して本に取り纏 め、ブログにて補足してきた。79歳で私のアメリカでの生保も終了するし謂わば御用納めとなり、その後は付録のようなものであるがままの人生を送ることに したい。

昨年は3ヶ月間、天津にて3000年来という中国伝統医療を受け尚且つ中国にて新しく始めたという北京大とアメリカ系最新医療技術臨床合弁と称する 幹細胞治療病院を訪問した。帰米後アメリカの神経科医師、研究者の示唆により脳梗塞後遺症の幹細胞治療は安全性が未だ確立していないし、臨床効果も確定しているわけでないので当分静観したほうが良いのではないかとの事で、幹細胞治療は今のところ受けないこととした。

天津では黄帝内経(確か前漢時代)の伝統を継ぐという人間国宝クラスの先生方に接し直接施療を受け、又私の人生経験として20人近いアメリカ人の同 病患者と90日間を親しく付き合えたというだけででも私は脳梗塞後遺症を契機として世界観が広くなりそれなりの成果はあったのかもしれない。中国での治療 の大きな効果を挙げると一つだけ、上肢の痙直が80%程度軽減され指が全開する様になった。アメリカの神経科医からは私の開いている指を見てボトックス(Botox)を使用したのかと聞かれた。ボトックスはボツリヌス菌由来の筋肉の緊張を緩和する薬であるが私はやったことがない。効果の持続は3‐6ヶ月 と言われている。

帰米後は特に幹細胞治療について脳神経の専門研究者から聞いた話ではロシアの有名な作家が散歩の途中落雷を身近に受け、そのショックで癲癇 (seizure)を発症し悲惨な晩年を過ごしたという。すなわち脳自身はどんなショックにより癲癇など発症するか分からない。余りに未解明なことが多く マスコミが取り上げるほど脳は単純ではない、そして脳内に異物を直接注入するなど安全性が全く確認されていないので、もし貴君の実生活に後遺症が大きな障 害でなければそこまでのリスクを取らないほうがいいのではないかと。幹細胞治療の代わりとして示唆されたのが低周波経皮電磁刺激器によるバイオネス (Bioness)という後遺症の自宅治療機器である。この低周波治療器の理論は決して斬新なハイテクな治療ではないが未だ原理は20世紀の機器である。3‐4年前よりイスラエルの医療器メーカーが色々なコンピュータによる制御を工夫し、最近アメリカでバイオネスというブランドで発売を開始したものである。当地専門医などの評価は高いが機器が安くなく、又医師や療法士の指導を必要とするため医療機関を近所に探すことが大変であった。


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余談:脳医学の事で私の理解を超越しているのは、1940年代からアメリカ、ジョンズ・ホプキンズ医大で癲癇治療のため脳半球を切除する(Hemispherectomy)という外科症例が10年間で200件行われていたという事実である。25年前私が同大学訪問時、研究所研究委員から聞いた話である。脳半球を切除して副作 用ないのかと聞いたら200件もやったのだから特に問題なかっただんだろう、と。私は自分が30年後に脳梗塞後遺症で悩まされるなど思っても見なかったから只聞き流していた。本当に脳の事は分かってるようで何も分かってないようである。脳の一部に血栓が出来て長期間、惨めな後遺症に悩まされるのに他方脳の半分を捨てちゃっても生きていけるというのはどういうことだろう。

バイオネス・H200を使用した治療を開始した。このシステムははOTの指導の下、自宅療法を前提に設計されている。それは毎日合計3時間以上、一日の休みもなく練習するよう、即ち長時間にわたって練習し脳に記憶を強力に刷り込むことを意図としてある。同じようにスパルタ式に治療を行う考え方にCI 療法(非麻痺側上肢抑制療法)があり、毎日最低6時間は利き手を使えなくして動かぬ手だけで練習させるといういわば地獄の訓練があるが、いずれも学会では 現在大きく評価されている。しかしながら私が出会った医師で例えば30分以上の練習訓練は脳を疲労させるからスパルタ式はやらないほうが良い、結果的に効 果を半減させるという説を語っていた。脳に疲労が溜まり、かえって混乱すると言う。あい矛盾する理論であるが、両者とも一理があるのかもしれない。その点、今回も療法士に聞いたが明確な回答はなく、個人差が大きいのかもしれない。

最初の週二回は、我が家から車で片道一時間の田舎にあるヘレン・ヘイズ(Helen Hayes)という後遺症治療専門リハビリ病院にてOTによる ガイドライン導入の訓練を受けた。このOTのセラピー訓練は米国老人医療保険でほぼ100%カバーし機械購入またはレンタルのみ自己負担である。因みに保険会社の負担は一回一時間で$125 を5回受け、自己負担は初回のみの$50だった。ハード(H200)は腕、手の低周波後遺症治療器で、機械はきめ細かくよく設計されているが、機器の経費が$6200と高く、私は月額$500で現在レンタルしている。保険はOTやPTがプロジェクトごとに保険会社に申請し5‐6回の施療を許可される。

低周波治療器は30サイクル平均の電気 9.5V、10mA (rms 50kOhm)で5箇所の動かない上肢の皮膚の上に電極を貼り付け、色々なパルス刺激に応じて10種類くらいの異なった上肢指先の運動をする。経皮通電刺 激システムである。電源はリチュームイオン電池で110Vで充電する。手の装具は斬新なデザインで、プロセッサーは小型ポータブル。ホームページ (www.bioness.com)を参照ください。経皮低周波刺激システムは後遺症治療器として現在よりも遥かに簡単な機器、ニューロムーブ (Neuromove) が家庭用として発売されたが、バイオネスは経皮通電箇所が装置の上で工夫固定されるようになっており、治療機器としての発売は未だ浅く5年も経過していな いが、当地の脳神経学会における評価はかなり高い。既に学術報告が10件以上されている。


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機器のメーカーはイスラエルであるが非常にソフトにも気を配り、プログラムは毎朝90分以上、夕方90分以上とかなり長く、OTの指導により病院でのガイドライン訓練がある。その後は自宅で一人で練習をするわけだが一日3時間、毎日、朝晩と自宅リハビリに過ごすとなると超長期に渉る忍耐と覚悟、特殊 なエネルギーを必要とするようである。極端に言えば或る人生観、価値観、哲学が必要となる。又3‐6カ月おきにOTが治療のフォローアップ出来る様になっ ており、通電刺激の累積時間がOTにより監視できるようになっている。これによりOT、医師は患者が家庭で累積何時間訓練してどの位、改善されたか知ることが出来る。即ち今年の10月頃にはOTによる私の機能回復度のレビュー・ミーティングを医療保険に申請し許可が出次第OTとのアポイントを取り、評価レビュー後、その後の自宅リハビリ訓練について計画を策定できる。

ヘレン・ヘイズ病院でバイオネス導入時期、OTには色々と指導された。先ず色々な手の機能テストのあと、足の方のL300は以前別の病院で私には合わないと断られたが今回の手のほうのモデルH200は特に問題なくOKとなった。

先ず私の悪い癖を指摘され矯正するよう指導された。例えば、手を挙げるときに肩から挙げるのは絶対不可。不自由な手で物を持ち上げようとすると肩までに挙がってしまう。即、肘が伸びきっていない。先ず肘を使って持ち上げること。自宅練習のとき鏡をよくみなさい。肘の動きはなかなか向上しない。なるほど不自由な方の肩が首筋にくっ付く様に上がっているのが分かる。ワイフ曰く、動かぬ右手を無理に使うとすると顔の筋肉までゆがんでしまうとの事で我ながら醜いね。常に肘をわき腹につけているようなイメージを持ち、常に肘を体にくっつけておくというがそれは非常に疲れる。その為にOTは私の肩の前の骨から上 部背筋まで幅の広いテープを張り一週間ほど張りっぱなしにせよとのこと。これは医療用テープで皮膚を刺激せず赤くなったりしない。包装用ガムテープは不 可。このテープも効果は高く肩を上げようとすると背筋皮膚が引き攣れて少々痛く肩が上がるのを防ぐ。実際一週間試したが確かに不自由な方の肩が醜く上がるのは少なくなった。その為テープを張った皮膚が痛くなることもない。ただし私の場合、一週間後に皮膚が赤くなったのでOTは事後使用禁止した。

肘の伸ばしは常に意識して伸ばしてること。患者は後遺症としての筋肉の痙直性があるから筋肉を意識して延ばしておかないと常時曲がってしまう。それ だけで手がうまく使用できず疲れるが、半身不付随という後遺症自身が常に疲労をもたらしているから仕方ない。右上肢下肢ともに痙直性 (spasticity) が発症後6年経過すると、少しずつ解除してきたものの未だ残っている。例えば筋肉には収縮する筋肉と伸びる筋肉があり脳神経から30サイクルの電流が流れ て腕を曲げたり伸ばしたりするわけだが、曲げ伸ばしの信号メカのバランスが崩れて曲げっぱなしとなる機会が多いわけである。


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どのくらいの期間訓練すれば完治するのか当然ながら誰も知らず、勿論患者によって異なるはず。健常者では例えば、テニスなど難易度中くらいのスポーツであれば、一応初心者が最低限の技術を習得するに毎日数時間練習を重ねて3‐6ヶ月くらいではないだろうか。歳をとると数倍の期間と努力が必要となろ う。然し今年の10月には途中レビューで何らかの目途を得ることを期待する。

スポーツ医学書によると筋肉の動きをメモリーとして脳に刷り込み反射的に動きが出てくるようになるのに、平均的ヒトが毎日時間をかけて練習して最低 3-6ヶ月はかかると。人によっては2年、3年とかかるわけで誰でも一定期間でできるわけでもないだろう。右手で特定の運動をするという記憶は脳梗塞によ り完全に消えているわけで言わば幼児の時代に戻って少しづつメモリーを作っていかねばならないとバークのリハビリ病院のボルプ博士が言っていた。一部残存 のメモリーがサブシステムとして少しは利用できるのかもしれない。ニューロンは単位細胞であって、これ以上細胞分裂して増殖するとは考えられないから今ま で使用されていなかったメモリーがクラスター集団としてシナプス経由互いに手を結び各筋肉への微妙な動きの指令を出していく。一つのクラスターがいくつの ニューロンから成り立ってるのか分からないが最近のサルによる実験だと数百個単位のニューロンが新たに使用されているという。要するに再配線されている。片手の動きだけで数百個のニューロンとは意外に少ないが最近のアメリカでの実験によるとサルの片上肢を切断し人口義手システムに置き換えたものである。サルの脳とロボットの人口両手をつなぐインターフェースは意外に簡単なものかもしれない。

OT曰く、必要なのはこの機器を利用して、朝90分以上夕方90分以上を毎日続けることが重要でリハビリとは忍の一字以外の何者でもない。効率的にメモリーを脳に刷り込む必要があるから"楽しくリハビリを…" という前に自分に適した、刷り込みにもっとも効率的な方法を発見することでもあるという。個々の練習動作はそれほど難しくはないが毎日3時間以上楽しめるようなものではない。特に私はこのほかに週3回フィットネスセンターに通っているからその 日は流石に疲労甚だしく、然し一晩寝れば疲れは取れるからそれほど無理ではないのだろう。効率化とはOT曰く例えば声に出して動作を繰り返すように言われた。指を開く、閉ざす、同時に健常なほうの手で全く同じ動作を行うなどである。即ち別ルートで同時に脳に刺激を与えなさいと。また動かすときはスポーツと同じで常に集中しイメージせよ、と。上肢の動かし方は脳への刷り込みを最も効率よく行いうるのは既に色々な研究者の論文で論じられている。

10月に行う予定のバイオネスによる効果測定報告は今年の秋に発表する。請うご期待。

どこまで治れば、完治といえるの?


どの資料にも書いていないので色々な患者を見ていて、完治とはどういう状態を言うのか色々な資料や医師療法士の話を総合すると完治のレベルというのは、現実的には年齢相応健常者の60-70%くらいだと仮定する。私のフィットネスセンターに来る50代の女性がいるが特別に作った杖を使用するが歩くの はとても早い。健常者よりも遥かに早く歩けるが杖がないと安定せず歩く気にはなりませんと言う。日常生活上は本人から後遺症があると言われない限り第三者 には見た目上では殆ど気が付かない。即ち患者によって例えば一緒に散歩して歩くのが異様に遅いとか何となく動きにメリハリがないとか私位の年齢になると後 遺症がなくても健常者でも誰にでも出てくるような状態と言える。私の場合今まで6年かかったから60-70%レベルになるのにあと6年はかかるであろう。私の場合、毎日努力を重ねて、発症後12年を完治目標としたい。ただし私より若い方はそれなりに見込み時間を短くしていただきたい。私が見た限りでは若い人ほど早いし回復達成度も高いと言えると思われる。

日常生活動作 (ADL Activities Of Daily Life)

バイオネスの装置による治療研究の成果は作業療法(OT)で伝統的に使用されるスケールがあるが、最近はADLという実生活に即した行動基準を用いて計測表現を工夫している。これは療法士が患者により分かり易く向上の目標意識を切実にするものかもしれないが、医師として患者の回復程度を記録する一つの基準である。色々な項目が基準として挙げられているが要は個々の患者の環境、日常生活慣習に応じてもっとも適したものを療法士や医師と相談して決めるのが良いだろう。私の場合は今年10月までに私の適したものをリストし療法士と相談する予定。それまでにトライアルを色々行い選別する。

例えば、
1. 両取っ手のついた鍋に水蓋など入れて重くし両手で30cmほど持ち挙げてみる。両手を肘を伸ばして水平にあげる。完全な水平あげを10点。下がると減点する。
2. 両足で立ち健常な手で杖をつき、不自由な方の手で7.5kgのバッグを下げる。だらりと下げてよいが、重量の減量に応じて減点する。現在私に出来るのは3 ポンドのバーベルを立ったまま持ち上げることだから私の実力評価は1.5kg/7.5kg = 20%で私の評価はその点だけだと健常者の20%である。私の実力では7.5kgのバッグを掴むことはできるが持ち上げることが出来ず掴んだ指が伸びてパ ラりと下に落ちてしまう。
3. 600gのグリップ保持能力。指で600gを水平かそれ以上の確度で持ち上げ、60秒間保持の事。私の場合0gで水平に保持できない。
4. 一人で着替えが出来る。靴の紐が結べる。
5. トイレ、浴室が一人で出来る。バスタオルで完全に水滴排除。下着衣服の着用など。
6. 食事の箸使い、ナイフとフォークなどが可能。茶碗が持てる。
7. 動かない上肢で杖を突き歩く、あるいは両手に別々に同時に杖を使う。階段乗降時に手すりを使わない。

以上、 次号へ。



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